ターゲットは高齢者

2019-01-29 09:59:00

●日本各地で高齢者をターゲットにした偽装質屋

偽装している質屋とはなんだろう?と思うかもしれないが、表向きは質屋の看板を掲げているものの、実際は違法な金利でカネを貸し付ける業者のことであり、要するにヤミ金である。
形式上のアリバイとして少額で買ったメガネやら壊れた腕時計なんかを質入れさせるが、そういったものは通常だと担保にならない。そこで差し出すのが、年金である。つまり、毎月受給される年金を利息にあてているのだ。
お年寄りに対して、ひどいことをしている連中だと思うかもしれないが、実はこの年金担保というのはヤミ金のなかではかなり古典的な手口として知られている。
あまりに横行したので、年金担保自体を福祉医療機構という独立行政法人だけにしか認めなくなったのだが、そこは悪知恵が働く人々である。
違法金融などで首がまわらなくなって追い込みをかけられたとしても、親が年金受給者だとわかると、親の年金を担保に利息を払おうとなってきます。
手続きをして、利子を差し引いてから必要な分だけ渡すという違法金融業者に融資金や年金が振り込まれる預金通帳と印鑑を渡す。それが済んだら違法金融業者は寝ていてもカネが転がり込んでくる。親は亡くなるまで年金を搾り取られる。
亡くなってからもしゃぶりつくされる。親の亡きがらを前にして違法金融業者は死亡届を出したら年金がもらえなくなってしまうけど良いのか?とささやく。
 
●使い古された手口がブレイクをした理由

2010年ごろ、消えた老人などといって、全国で100歳以上で所在不明の老人が23万人いることが分かったと大騒ぎになったが、その裏にはこういう年金担保を使ったアングラビジネスがあった。実際に山口組系暴力団幹部が、すでに死亡している他の幹部の父親の年金600万円を不正受給し、組の運営費に充てていたとして警視庁に逮捕されたこともあった。先ほど記述した偽装質屋も1988年ごろから高齢者を相手にして、年金を担保にしてカネを貸し付けていたという。
そんな使い古された手口がなぜ急にブレイクをしたのかを簡潔にお伝えすると、総量規制の影響であり、ご存じかもしれないが、2006年の貸金業法改正によって、カネを借りれるのは定期収入がある人で、「年収の3分の1まで」という条件をもうけた。貧しい人ほど借金しなくちゃいけないのに、生きていけないぞと文句を言ったら、金融庁はそういった人たちを相手にしなかった。
定職についていない人や仕事を失った東北の被災者、そして高齢者。多くの人が、違法金融業者へすがることになる。そして違法金融業者の摘発数は右肩下がりで減っていった。被害額も2012年には最少の109億9000万円まで減少したと警察庁が発表したが、なんのことはない、偽装質屋に流れていたというわけだ。
昨年2月以降、群馬、愛知、大分、鹿児島などで計11人が逮捕され、被害者は約4300人にものぼる。しかも、5月30日に福岡で摘発された偽装質屋なども、5年間で少なくとも約9600人に約74億円も貸し付けたという。

●他人事のように憂いている

偽装質屋という古くさい犯罪を2013年に甦らせたのは、貸金業法の“改悪”のせいだということは明らかだ。こういう現実をつきつけられて、さすがに法改正を押し切った自民党も反省したようで2012年11月に出した「総合政策集」で改正の悪影響を認め、上限金利規制や総量規制など過剰な規制を見直すとした。
法改正の仕掛け人である人権派の弁護士や、党のみなさんもさすがに反省しているのではないか。
消費者金融に対するネガティブキャンペーンを繰り広げ、法改正したらヤミ金がこの世から根絶されるなんて事実と違うことを広めた。さらに法改正後は、「過払い返還請求バブル」で大もうけをして、ヤミ金の客を大量に世につくりだした。
そう思い、某党の機関紙を見たら、偽装質屋 被害広げた収納代行サービスとかこの期に及んで知らないふりをしていた。法改正の旗ふりの役だった人にいたっては、全国紙やらNHKに登場して、社会システムがおかしいと他人事のように憂いていた。
彼らの政治信条では、闘争の後は総括がつきものだが、ここまで被害を拡大させたのだから、もう少ししっかりと振り返ってほしい。