日本はキャッシュレス社会になるのか!?

2019-01-25 14:26:00

2018年はメガバンクがATMや店舗の削減に乗り出したり、電子マネーのPayPayが100億円キャンペーンを実施したりするなど、キャッシュレス化に向けた動きが顕著になった1年だった。19年は長い目で見た場合、「キャッシュレス元年」という位置付けになる可能性が高い。
もし日本でもキャッシュレス化が進行した場合、これまで単一のマーケットだった個人向け金融サービスが二極化することが考えられる。クレジットカードを持てる層と持てない層とで、金融サービスが区分されることになる。

●銀行が中心だったこれまで

これまで日本の金融サービスの中核として位置付けられてきたのは、言うまでもなく銀行であり、各種の法制度も銀行中心のシステムを後押ししてきたといってよい。 しかし、社会のキャッシュレス化が進むと図式が変化する。すでに若年層の中には、銀行口座ではなく、電子マネーの口座が事実上の銀行口座になっている人が増えている。給料が振り込まれると、早速、電子マネーにチャージしてしまい、買い物の多くをその中で完結させてしまうからだ。
こうした状況を受けて政府も法改正を進める方針を示しており、労働基準法を改正し、企業が直接、電子マネーで給料を支払うことを可能にするという。もし法改正が実施されれば、電子マネーの銀行化がさらに進むことになるだろう。
現時点においてキャッシュレス決済の中心となっているのはクレジットカード(クレカ)である。だがクレカはあくまで銀行口座を起点とした決済インフラであり、貯蓄的な機能は備えていない。利用者が銀行口座を持っていることが大前提のサービスである。

●消費者金融化する電子マネー

しかもクレカというのは、その名前からも分かるように、利用者に信用を供与するビジネスである。クレカで決済した後、銀行口座からお金が引き落とされるまでは、カード会社が実質的に利用者にお金を貸し付けている状態となる。カードには審査があり、一定の所得や資産を持っていないとカードを保有することはできない。 ところが電子マネーに給与が振り込まれると、この図式が大きく変わってくる。
電子マネーは決済サービスであると同時に、貯蓄性を持ったサービスでもある。そうなってくると、電子マネーがさらに普及した場合、銀行口座を持たなくても生活できる人がさらに増えることが予想される。
定期収入がなかったり、年収が極めて低かったりというケースでは、そもそもクレカを作ることが難しいので、無理に銀行口座を維持してデビットカードなどで決済するよりも、電子マネーを銀行代わりにする方が合理的だろう。
法制度があるため、実現にはいろいろなハードルがあるだろうが、電子マネーの事業者が融資のサービスまで手掛ければ、消費者金融の分野すらカバーする形になる。
昨年、LINEはみずほ銀行と共同でLINE銀行の設立を発表した。サービスの詳細は明らかではないが、電子マネーのサービスであるLINE Payを中心に決済・貯蓄の機能を担う可能性が高いだろう。同社は、LINEスコアという個人向けのスコアリング・サービスを強化する方針を打ち出しており、利用者に対する消費者金融的なサービスについても検討を進めている。

●メインを銀行にする人は残高を増やそう

銀行はこれまでにあらゆる層の顧客を相手にしてきたが、残高が大きく日常的に銀行を使う顧客に的を絞り、資産運用なども含めた総合的なサービスにシフトする方が合理的である。当然、この顧客層はクレカの保有層と合致している。
ある程度の年収や資産を保有する層にシフトするとなれば、銀行は顧客の選別を一層、強化するだろう。平均残高が大きい顧客ほど各種の手数料が安くなり、豊富なサービスが受けられるようになるはずだ。
10年後の金融市場は、銀行のサービスを中心に利用する層と、電子マネーのサービスを中心に利用する層に二極化している可能性が高い。